「親亡き後問題」を考えるにあたり、どうしても避けて通る事が出来ない課題の一つに「お金の問題」があります。今回はこの「お金の問題」に焦点をあてて、少し掘り下げて考えてみましょう。
お金の問題の本質
当たり前の話ですが、日々生活をしてゆくにはお金が必要となります。毎日の食事や生活する住居、日々着る衣類など最低限必要なものから、趣味や習い事、友人とのお付き合いにかかる費用など、様々な事にお金が必要となります。
「お金の問題」と言うと、「どうやってお金を準備するのか?(増やすのか?)」という点ばかりに注目されがちですが、実は問題の本質はもっと別の所にあります。
「お金の問題」の本質は、『人によって生涯必要となる金額が異なる』という点にあります。つまり、画一的な対策が取れないという所に難しさがあるのです。
日常生活に必要な衣食住だけを考えても、人によって様々であり、月々数万円で賄える人もいれば、逆に月々何十万円も費やしている人もいます。確かに、倹約した方が支出額を抑えることが出来ますが、逆に心の潤いという面ではどうでしょうか?
どちらが正しいという訳ではなく、人それぞれ事情が異なるという事です。
「お金の問題」を考える場合、『どうやってお金を増やすか』の前に、『そもそも自分はいくらのお金が必要なのか?』について最初にしっかりと考える事が大事になります。最終的なゴール(必要な額)をちゃんと設定しないと、どうやって辿り着くか(お金を準備するか)の道筋が見えてきません。
親亡き後問題として
これを「親亡き後問題」に当てはめると、もう一つの問題が浮かび上がります。それは『子の生涯で必要となる金額は親にも分からない』という厄介な問題です。
自分自身の事であれば、自分なりの現在の生活水準をベースに将来を予測し、必要な金額を設定する事もある程度は可能ですが、子の事となると事情が大きく変わってきます。例え親といえども予測する事がとても困難なのです。
年齢や症状などによって事情が異なると思いますが、例えば、①就職をするのか?②結婚はするのか?③子供を授かるのか? のたった3項目の予測が外れるだけでも生涯必要となる金額が大きく変動してしまいます。
では、「お金の問題」の側面から親亡き後の子の人生を考えるには一体どうすれば良いのでしょうか?
ファイナンシャルプランナー(FP)という存在
FPという存在をご存知でしょうか?
FPは言わば「家計のホームドクター」であり、「お金に関するプロ」です。
病気などの健康問題は医師へ、裁判などの法律問題は弁護士に相談するのと同様に、欧米では家計に関する問題はFPに相談するのが一般的と言われています。
家計に関する問題を検討するには、金融商品・不動産・税金・生命/損害保険・社会保険・相続など幅広い知識が必要であり、それらの知識を総合的に考慮しながら、相談者の夢や目標を叶えるべく、経済的な側面からサポートする専門家がFPです。
「餅は餅屋」と言われるように、親亡き後問題を一緒に考えて併走してくれるような専門家を見つけ、パートナーとして継続的に支援して貰う事が出来たら理想的でしょう。
ライフプランの作り方
信頼できるFPが見つかり、相談したら、あとはお任せでFPがライフプランを作成してくれると期待してしまうかも知れませんが、残念ながらそうではありません。
ライフプランを作成する前提として、収入や支出、保有不動産や預貯金額などの資産状況、ローンなどの借入状況、保険の加入内容などの詳細な情報が必要となります。
また、将来のイベント(自動車を〇年毎に買い換えたい)やその為の費用など、相談者自身の思いや希望をできる限り詳細にヒアリングする事になりますので、それらに関する情報や考えを整理しておく事が求められます。
FPは相談者から提供された情報を元にして、必要な金額を算出し、どうやってそのライフプランを実現させるかを検討してゆく事となりますが、相談者の希望を全て叶える事が経済的に難しい場合には、相談者と調整しながら次善策や代替案を模索してゆく事になりますので、「FPにお任せ」ではなく「FPと一緒に」作成するというスタンスで考えた方が良いでしょう。
ライフプランの定期的な見直し
こうしてFPと一緒にライフプランを作り上げる事が出来れば完成と思われるかも知れませんが、実はまだ終わりではありません。
ライフプランというのは一度作ってしまえば完璧というものではありません。
というよりも、そもそも『完璧なライフプラン』というもの自体が存在しないと言った方が適切でしょう。
ご自身のこれまでの人生を振り返ってみて下さい。受験や就職、結婚や出産/育児など、様々なライフイベントにおいて、全て自分が当初想定した通りに叶っているでしょうか?
そうです、人生はなかなか思い通りにはなりません。いやむしろ、思い通りにならないのが人生というべきなのかも知れません。つまり、当初作成したライフプラン通りに人生が進む事の方が可能性としては低いのです。ではどうすれば良いのでしょうか?
定期的にライフプランを見直し、その都度必要に応じた修正を行う事が大事なのです。
必然的にFPとの付き合いは長くなりますので、信頼できるFPに相談する事が大切なのは勿論ですが、更に、親亡き後問題を考えるのであれば、相談するFPの年齢もある程度は考慮した方が良いでしょう。
※埼玉親なき後総合サポートセンターでは、ファイナンシャルプランナーの最上位資格であり国際資格でもあるCFP(Certified Financial Planner)の有資格者が参画してサポートを行っておりますので安心してご活用ください。
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