親なき後問題と遺言【無用な手間や争いを防ぐための手段】

「親なき後」問題における遺言とは

遺言には、亡くなられた方から残された方への感謝の思いを使える手紙、残された方へのメッセージといった目的もありますが、「親なき後」を心配する方にとっての遺言は、

●亡くなられた方(=遺言者)が希望する形で財産(遺産)を家族に継承する手段
●財産(遺産)をめぐって家族が無用な手間や争いをしなくて済むための手段

という役割を果たします。

 

どうして遺言を作る必要があるのか

遺言がない場合の相続がどのように行われるかを見てみましょう。

遺言がない場合の相続

遺言がない場合は、法律で決まった相続人(法定相続人)が遺産を相続することになります。

法定相続人の決まり方は法律で決まっています。
チャート図を作成しましたので、ご確認ください。

法定相続人がどのような割合で遺産を相続するかについては、多くの場合、法定相続人全員で「話し合い」をして決めることになります。

法定相続人全員で行なうこの「話し合い」のことを遺産分割協議をいいます。

遺産分割協議による相続

遺産分割協議は法定相続人全員で話し合いを行ない、全員の合意によって相続の内容が決まります。

結果として、亡くなられた方が希望する形での遺産を家族に継承することが難しくなります。
また、遺産を巡って残された家族が無用な手間や争いをしてしまう心配があります。

不動産を相続する際のリスク

相続財産の大半が不動産の場合、難しい問題が生じることがあります。

分かりやすいのは財産の大部分または全部が「持ち家」の場合。

「持ち家」を一人の法定相続人が相続することにすると、相続できなかった法定相続人にしてみれば、不公平感が生じます。かといって「持ち家」は分割することはできませんね。

どうしても法定相続人で財産を分けようとすれば、「持ち家」を複数の法定相続人で共有という形で相続することになってしまいます。

しかし、不動産を共有することには様々なデメリットがあります。

共有のデメリット
●共有者全員の同意がないと売却できない
●修繕にも共有者の同意が必要となる場合がある
●手続きの際の費用が多くかかる

つまり不動産の管理や処分に必要な手続きをスムーズに行なうことが難しくなってしまうのです。

「親なき後」問題における遺産分割協議の問題点

「親なき後」を心配する方の中にとっては、さらに難しい問題があります。

それは、

遺産分割協議に参加するためには、参加する法定相続人に「行為能力」が必要である

ということです。

「行為能力」とは簡単に言えば、契約などの法律行為を一人で行なう能力のことです。

行為能力がない人が法定相続人になった場合、一定の対応が必要となります。

行為能力がない場合に必要な対応
●成年後見人を用意して遺産分割協議を行なう
●法定された割合で遺産を相続する

成年後見人を用意する場合

成年後見人を用意することを申立てと言います。
成年後見人の申立ては家庭裁判所に行ないます。

ですが、遺産分割協議のためだけに成年後見人を申し立てることには様々なデメリットがあります。

成年後見人を申し立てる場合のデメリット
●手間・時間・費用がかかる
●希望した人が後見人になるとは限らない(家族とは関係のない第三者が後見人になることも多い)
●遺産分割協議が終わっても、後見人との関係は継続する

法定相続の場合

遺産分割協議を行なわない場合、遺産は法律で決まった割合で相続することになります。

誰がどのような割合で相続することになるか、図にまとめてみました。ご確認ください。

相続の割合は法律で決まっていますので、遺産分割協議を行なった相続同様、亡くなられた方が希望する形での遺産を家族に継承することは難しくなります。
また、不動産については共有となる可能性が高いです。

 

遺言があるとどうなるか

遺言通りの相続

遺言がある場合、基本的には遺産分割協議を行なうことなく遺言の通りに相続が行なわれることになります。
遺産分割協議を行なう必要もなくなります。
「行為能力」のない法定相続人にどのように財産を相続させるかということについても、遺言者がコントロールすることができます。
分割することができない不動産についても、遺言者が方針を決めることができます。
つまり遺言者の望む形で、遺産を家族に引き継ぐことができるのです。

遺留分について

但し、法定相続人のうち、配偶者、子、直系尊属には遺留分というものがあります。

遺留分とは
法定相続人が確保できる一定の遺産のことを言います。

もしも遺言の内容に納得がいかない法定相続人は、自分の遺留分を請求することができます。

どの程度請求できるできるかについては、法律で決まっています。
誰がどの程度することができるか、図にまとめてみました。ご確認ください。

ですが、遺留分の問題が生じるのは、法定相続人が遺留分の請求を行なった場合に限ります。
どの法定相続人も遺留分の請求をしなければ、相続は遺言の通りに行なわれることになります。

遺言を残し、その内容について、生前に法定相続人と相談しておくなどの対応を取ることで、
遺産分割協議によって法定相続人同士が話し合いを行なうよりも、理想的な相続が行なわれる可能性が高めることができます。

遺言をした方が良いケース

特に遺言を残した方が良いケースとしては以下のようなものがあります。

●財産の大半、あるいは全てが不動産(特に自宅)
●法定相続人(子供など)の人数が3人以上
●子供が未成年
●法定相続人の中に不仲な方がいる
●離婚した相手や内縁の子がいる

 

遺言の種類について

続いて遺言について見てみましょう。

一般的な遺言のタイプは3種類

一般的な遺言の種類は3つあります。

●公正証書遺言
●自筆証書遺言
●秘密証書遺言

3種類の遺言の比較

3種類の遺言について、基本的な違いを比較してみます。

3種類の遺言の比較

 公正証書遺言自筆証書遺言秘密証書遺言
内容公証人と本人が相談
→公証人が考える
本人が考える本人が考える
記述公証人本人:手書き
(財産目録はPC可)
本人:手書き・PC
記名本人が手書き本人が手書き本人が手書き
保管公証役場で保管
(謄本は自分で保管)
本人が保管
(2020年7月10日より[保管制度]開始)
本人が保管
検認不要必要
([保管制度]を利用すれば不要)
必要
検認とは
遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続のことを言います。家庭裁判所で手続きを行ないます。

3種類の遺言の特徴について

それぞれの遺言の種類による特徴を見てみましょう。

公正証書遺言

公証役場に相談に行き作成します。ですので手間と費用が掛かります。また、少し敷居が高いかもしれません。
内容は、公証人が考え、記述してもらえます。ということは、公証人に内容を知られてしまうことになります(公証人が情報を漏らすことはありませんが…)。
一方、プロが作成しますから、内容に不備がある(つまり、遺言の役割を果たせない)ということはありません。また、原本を公証役場で保管しますので、改ざん、紛失などのリスクがありません。

そして、検認手続きが必要ないので、すぐに相続手続きに進めます。

自筆証書遺言

自分一人で作成できます。ですので費用はかかりません。気楽に始められます。

しかし、内容は自分で考え自分で記述します。そして、記述は手書きでなければなりません(財産目録はPC可)。この辺りが自筆証書遺言の大変なところです。

一人で作りますので、自分が話さなければ、内容は誰にも知られることはありません。

一方、自分で作成する関係で、内容に不備が生じる(つまり遺産相続の役割を果たさない)リスクがあります。また、自分で保管しますので、改ざん、紛失などのリスクがあります。

さらに、検認手続きが必要なので、相続手続きを始めるまで時間がかかります
(2020年7月10日に開始する保管制度を利用した場合は、検認手続きは不要となります)。

秘密証書遺言

内容は自分で作成し、公証役場で手続きをします。ですので手間と費用が掛かります。費用は公正証書遺言よりは安く済みます。

内容は自分で考え、自分で記述します。全てPCで記述することもできます。
ですので、自分が話さなければ、内容は誰にも知られることはありません。

公証役場で手続きをしますが、内容については確認しません。ですので、内容に不備が生じる(つまり遺産相続の役割を果たさない)リスクがあります。また、自分で保管しますので、改ざん、紛失などのリスクがあります。

検認が必要なので、相続手続きを始めるまで時間がかかります。

お勧めの遺言は公正証書遺言

手間と費用はかかりますが、遺言としての確実性の高さやすぐに相続を開始できることなどを考えると、公正証書遺言がお勧めです。

 

遺言作成は[埼玉親なき後総合サポートセンター]にお任せください

今回は遺言の基本についての情報をお伝えしました。

遺言は決められた通りに作れば問題ありません。しかし、そうはいっても実際の遺言作成にはなかなか難しいところがあります。

当センターでは、遺言の文面作成のサポートや公証役場と手続きの代行などを行なっています。遺言についての疑問、相談などありましたら、当センターへご相談ください。

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